幼馴染の一人が介護士をしている。3年前はプール漬けの日々を語ってくれた馬場健二(仮名、34歳)だ。明るく振る舞いつつも、過酷な労働環境と複雑な家庭状況に耐えていることが分かってしんみりしたのを覚えている。その後、馬場の生活や心境に変化はあったのだろうか。
我々の地元は西武新宿線沿いである。田無駅近くの蕎麦屋「さらしな総本店」に入り、イカの沖漬けやうなぎの塩焼きで瓶ビールを飲みながら、馬場の話をゆっくり聞くことにした。
年齢:34歳
仕事:介護士
年収:280万円
学歴:専門学校卒
家族構成:父親と二人暮らし
大宮(以下、O) 悪いね、平日の夜に呼び出しちゃって。
馬場(以下、B) 全く問題ないよ。転職したのは言ったっけ? 特養(特別養護老人ホーム)からデイサービスの会社に移ったんだ。夜勤がないからすごく楽! 職場の雰囲気もいい。いい意味でゆるくて笑いがあるんだよ。前の職場は堅い人ばかりでつらかったから。でも、給料が下がったのは痛いな。無茶な拡大をしている会社だから、将来も不安だし……。
O 給料、いくらぐらいなの?
B 月収20万円ぐらい。去年のボーナスは8万円だった。30代半ばなのに、恥ずかしいよ……。さすがにパチンコをやめた。
O あれ? パチンコなんてやってたっけ? 趣味はプールだけかと思ったよ。
B いや、パチンコはずっとやってた。20歳のときから通っているから、10年以上だね。でも、ある本を読んでいていい言葉に出合ったんだ。「時間の無駄は人生の無駄」だってね!
O はあ。
B パチンコは勝ったらいいけれど負けたら時間と金の無駄だろ。しかも、店側にコントロールされている。オレたちは踊らされているだけなんだって気づいたんだよ!
O いまさら……。まあ、いいや(笑)。じゃあ、暇な時間は何をしているの?
B 基本はプールだね。夜勤がなくなった分、規則正しい生活になった。平日は朝5時半に目が覚めて、犬の散歩に出かける親父を見送る。夜は遅くても11時には寝るね。早ければ9時に寝る。休日は午前中にプールに行って、帰ってきて昼飯を食べて、夕方またプールに行く。
O 家とプールの滞在時間が同じぐらいだね!
B うん。近所のフィットネスクラブに通っているんだけど、なくなったら困るなあ。会社がなくなるより困る(笑)。定休日の木曜はつらいよ。




