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小さいことは気にしない!

2010年8月30日

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 「小さいことは気にしない」。じつはこれ、健康を守るうえでとても大切なことだと思う。今までさんざん「自分の体の声を聞く」「体とじっくり向き合う」なんてことを書いてきたので、それと逆のことを言っているように聞こえるかもしれない。けれども、繊細さとおおらかさは、決して相反することではないのだ。

 「日本に来た20年前には、『養生』という言葉さえ知らない女性が多かったのに、今はみんなとても健康に気を配っていることに感心します」というのは、北京出身の中医、邱紅梅先生。しかし、その「気の配り方」には少し気になる点があるという。

 「例えば、『冷やしちゃいけない』とどこかで教わると、それが強迫観念のようになって、この酷暑の中でもカイロをおなかに当て、かえって体調を崩してしまったり、極端な菜食で栄養失調になったり……。それは本当の養生ではないよ、と言うのですが、なかなか本意が伝わらず、歯がゆい思いをすることがあります」(邱先生)

 「中庸」、つまり、過不足がなく偏りもないことをよしとする中医学では、「健康法の実践」も過ぎたるは及ばざるがごとし、と考える。健康という概念も、数値で「どこからどこまでは健康」と決まっているわけではなく、虚弱な人も頑丈な人も、その体なりのバランスがとれていればよしとされる。このユルさ加減が、私は好きだ。

 ちなみに、中医学は「予防医学」と言われることが多いけれど、本来は「養生の医学」なのだと思う。病気を防ぐというより、心も体も軽やかで美しく、元気な状態を保つための医学。中華圏に旅行したことのある人なら、そのことを実感として分かってもらえるのではないかと思う。とにかく街中に健康情報があふれている。だからといって、みんなが病気のことばかりを考えているわけではない。ただ、元気でいるのが「ふつう」で、そのふつうの状態を保つために「養生」することは、ごく自然なことなのだ。

がんばらない「養生」を

 これまで紹介してきたように、中医学はけっこう使えるセルフチェック法や対処法を持っている。その理論をきっちり把握するのは難しいことだけれど、例えば、季節や月経のリズムなどによって体は変化すること、体調の変化は顔色や舌(「毎日の元気は『舌』でチェック!」を参照)にも表れること、心と体は連動していること、などを知っているだけでも、日々の過ごし方がずいぶん違ってくると思う。

 そして、体に何らかの不足や滞りなどの“歪み”があるようなら、その歪みが大きくならないうちに調整して、「中庸」の状態を保つ。具体的には、不足している「血」を食べ物で補うとか、ストレスコントロールで「肝」(「“恋で目が輝く”には医学的理由があった」参照)の機能の乱れを整える、などがそれに当たる。つまり、やみくもに「健康のために!」とがんばるのではなく、そのときの体の状態に合わせて生活や食事を調整すること、それが「養生」なのである。

 そんな知恵も、プラスの方向に活かせる人と、逆に気にしすぎてナーバスになる人がいる。やはり、ここにも「中庸」のココロが必要だと思う。自分の体の変化に気を配りつつも、小さな不調を見つけてはため息をつく、みたいなことはしない。そして、いつもいつもカラダのことばかり気にしない。そんな感じがちょうどいいんじゃないだろうか。

 ぜひ読者の皆さんには、これまで紹介した知恵の数々を「中庸のココロ」で取り入れて、これからも楽しく元気に過ごしていただきたいと思う。

※高島系子さんの「カラダが教えてくれる食生活」は今回が最終回です。ご愛読、ありがとうございました。これからもバックナンバーはお読みいただけます(http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20090827/103845/)。ご活用ください。

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髙島系子
髙島系子(たかしま・けいこ)
中医学ライター。約15年にわたり、国内外で中医学に関する取材を続け、体の「なぜ」を「なるほど」にする知恵を広めるべく活動中。執筆のかたわら、中医学を活かしたごはん作りのワークショップも開催している。現在、シンガポール在住。著書に「妊婦は太っちゃいけないの?」(新潮社)
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