
今日できることを明日に延ばすな、ということわざがあります。なにごとも前倒しでやっていけば、何が起こっても対処できるという知恵でした。
たしかにもっともなようにも聞こえます。もし余裕があれば、明日の予定だった作業を今日、前倒しでやったほうがいい。その分、明日の時間が空くし、そこで別の作業もできるでしょう。
しかし、実際には、この言葉が当てはまらないことがたくさん起こっています。前倒しでやったはいいけれど、そのあとに来た修正の依頼に対応して、結局、前倒しした分が無駄になるとか、追加要素が必要になって二度手間になるといったことです。前倒しすればするほど、仕事が20%ずつくらい増えていくパターンです。
昔は、何でも前倒しでやることがよいとされていましたが、それは世の中が、そんなに早くは変化しない、という大前提があったからです。
ところが、今は社会の動きが速く、状況は刻一刻と変化していきます。そんなときに、前倒しで作業しても、あとから修正が発生します。たとえ来週提出する書類を早めにつくったとしても、来週までの間に何らかの変化があれば、手直しをしなければならなくなる。それくら情報の流れも速く、変化も早くなっているのです。
会社で残業の多い人がいますが、その人たちの仕事をよくよく見ていると、共通点がありますそれは、「今日やらなくてもいいことを今日やっている」という点です。
「実はそれは明日やってもいいのではないか?」という仕事でも、残業をすることが前提になっていると、優先順位の低いものも、ついつい夜遅くまで業務をこなしてしまうのです。その結果、さきほどのような「業務割増」のケースに陥ってしまっているのです。
また、こうした時間の余裕があるときの無駄についてはもうひとつ、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というパーキンソンの法則があります。時間があると思うと、その持っている時間いっぱいを使って、仕事をしてしまう習性のことです。この場合、時間をかけた割には、仕事の質はそれほど変わりません。
このパーキンソンの法則のワナに陥らないように、明日できることは明日やるようにして、早く帰宅する。そうすれば、「与えられた時間」が制限されるので、短い時間の中で仕事をこなすことができるのです。
だからこそ、前倒しではなく、できるかぎり後ろ倒しの仕事術が必要なのです。これは変化の激しい現代に対応するのにもぴったりです。
明日できることは明日に先延ばしし、じっくりと状況の変化を見極めていきましょう。



