もうずいぶん前の話になるが、台湾で初めて「豆花」なるスイーツを食べ、なんて優しい味なんだろう!と感激したことがある。あれから十数年、今では東京にも豆花を食べられる店が増えてきた。そしてここシンガポールは、ホーカーズ(屋台村)、フードコート、そして先ごろ日本に上陸したような豆乳チェーン店など、それこそ「いつでもどこでも」食べられる環境だ。
豆花は、豆乳を茶わん蒸しくらいの柔らかさに固めたもの。シンガポールでは、黒糖や生姜のシロップなどをかけて食べるのが一般的だ。温かいものと冷たいものがあるが、シンガポールでは温かいほうを選ぶ人が多い。ちなみに、豆腐も和食店以外で「冷ややっこ」が出てくることはなく、スーパーのに置いてあるものもほとんどが加熱用。ここにも「冷たいものを不用意にとらない」という、中医学の知恵が生きているのだなあ、と感心する(「冷たいものは体によくない?」参照)。
さて、大豆は主に食用だが、同じ豆でも黒豆や緑豆(りょくとう)は、おいしく食べられるだけでなく、薬としても用いられている。どちらも、体の余分な水分を取り除く「利湿作用」があるので、これからの季節にはぴったりの食材だ。
特に、蒸し暑い夏に向くのが緑豆。中国では「緑豆なしで夏は過ごせない」と言われるほど、古くから愛されてきた食材である。シンガポールでも緑豆の甘粥がよく食べられているし、台湾では豆花に緑豆あんをかけたものをよくみかける。
緑豆には「消暑」の作用があると言われ、体の余分な水分を取り除くほか、体にこもりがちな熱を冷まし、さらにはエネルギーである「気」を補う作用もあるため、夏バテ予防にぴったりなのだ。



