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本場の味にこだわりすぎていませんか?

2010年5月24日

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どんな料理も「舌」で自分流のアレンジを。

 東京に住んでいたころ、近所においしいチキンライス屋さんがあった。チキンライスといっても、ケチャップ味のそれではない。茹でた鶏肉に、その茹で汁で炊いたごはんを添えた、シンプルながら奥の深いシンガポール料理だ。シンガポールにはこのチキンライス専門店がたくさんあって、鶏肉のジューシーさ、添えられるダークソイソースやチリソースの風味、ごはんの炊き具合などを競っている。

 シンガポールへの転居が決まったとき、真っ先に浮かんだのがこのチキンライスのこと。次に帰国するときまでには、きっとおいしいチキンライスやそのほかのローカル料理が作れるようになっているだろう、と想像し、友人たちにもそう宣言した記憶がある。ところがどうだろう。こちらに来てから、チキンライスを作ったのはたったの1回。なにせ一歩外に出れば、安くておいしい「本場」のローカル料理が食べられるのだ。それを手間ひまかけて作る気にはなかなかなれない。

 もちろん、いくつかレパートリーに加わったローカル料理もある。しかしそれは、以前想像していたような「現地の味を再現!」的なものではない。同じような味にしようと思っても、「外で食べる○○は油っこいから」「もう少し甘味控えめのほうが私の好み」と、舌や手が勝手にアレンジを加えてしまうのだ。

 さて、そんな私が言うのも何だが、「よそで食べたあの料理を再現したい!」というときに、いちばん頼りになるのは自分の「舌」だと思う。この舌の感度は、「いい加減な」料理(「レシピ不要、おいしくカラダにいい料理」)を作るほどに磨かれてくる。料理の際の味見をクセにしていると、いつでもどこでも何かを口に入れたとたん、舌が勝手に分析を始めてくれるようなのだ。しかも、その味の記憶を自分流に変える、というワザまで身に付くようになる。

 うまく再現できなくたっていい。よその国の料理も、天才シェフがいるあの店の料理も、アレンジを経て「自分のカラダに合う料理」にしているのなら、それはそれですばらしいことだからだ(ちょっと自己弁護?)。

 ちょっと前までは、日本人向けにアレンジした各国料理はつまらない、と思っていたけれど、最近は、そのオリジナリティこそすばらしいと思うようになってきた。その国の味は、気候や環境、嗜好や国民性まで含んだ「文化」だから、簡単に自分の手で作り出せるものではないとも思う。

 だから、「いい加減料理」が身に付いてきたら、ぜひ、自分の舌を信じて果敢にオリジナル料理に挑戦していただきたい。きっと今まで以上に作ることが楽しくなってくるはずだ。

 料理の話が続いたが、このあたりでちょっと話を中医学に戻したいと思う。次回は、敷居が高いと思われがちな漢方食材を、自分のモノにする方法について紹介しよう。

おまけ:「いい加減」の漬け込みだれで、肉や魚をムダなく使う

肉や魚を買いすぎて食べ切れないときには、カンタンなたれに漬け込んでおくのがおすすめ。たれはすべて「味見」で決めて、バリエーションを広げよう!

●基本の味噌漬け
味噌を酒(あるいはみりん)でのばして味見。漬け込む日数にもよるが、「ごはんが進む!」くらいの塩加減を目安に。このたれをビニールに入れて魚を漬け込む。肉もOK(魚より味がしみにくいので、3~4日漬けるとよい)。あとは魚焼きグリルかオーブントースターで焼くだけ。

【展開】
A+B、またはA+B+Cの組み合わせで、アレンジ自在!
(例:ナンプラー+水+ニンニク、塩+酢+ローズマリー、しょうゆ+ポン酢+生姜)

A(基本の調味料)

味噌、しょうゆ、塩、ナンプラーなど

B(塩気を調整する調味料)

酒、みりん、酢、ポン酢、水など

C(香味野菜)

生姜、ニンニク、タマネギ、柚子の皮、八角、カレー粉、ローズマリー、タイムなど

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Profile
髙島系子
髙島系子(たかしま・けいこ)
中医学ライター。約15年にわたり、国内外で中医学に関する取材を続け、体の「なぜ」を「なるほど」にする知恵を広めるべく活動中。執筆のかたわら、中医学を活かしたごはん作りのワークショップも開催している。現在、シンガポール在住。著書に「妊婦は太っちゃいけないの?」(新潮社)
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