1995(平成7)年
「育児・介護休業法」成立

2009年11月17日

 この法律の正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行なう労働者の福祉に関する法律」です。1992年に施行された「育児休業等に関する法律」(育児休業法)を大幅に改正し、介護休業規定を導入しました。
 
 ここで、日本の育児休業制度について簡単に振り返ってみることにしましょう。育児休業制度の先駆けとしては電電公社(現NTT)が1965年から導入した育児休業制度が挙げられます。これは当時電話交換が手動で行われ、交換手は圧倒的に女性だったことが大きく関係しています。

 育児休業は1972年の勤労福祉法で初めて制定されましたが、実際の運用は雇用主の努力に任された努力義務規定にとどまり、制度の対象となるのも女性のみという内容でした。その3年後、公務員を対象とした「義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律」(女子教育職員等育児休業法1975年)が制定され、公立校の教員と看護婦などの医療職を対象とした育児休業制度が導入されました。

 そして、国連の女性差別撤廃条約(1979年採択、日本1985年批准)やILO 156号条約(1981年採択、日本1995年批准)などの国際世論と、出生率の大幅な低下に直面するに至り、ようやく日本でも男女が共に育児に関わることの重要性が認識されるようになりました。92年に施行された「育児休業等に関する法律」では初めて男性も育児休業が取得可能になりました。その後、家庭責任は「育児」だけに留まらず「介護」も対象にすべきだとしてこの年、介護休業も加えられた「育児・介護休業法」が成立(施行は1999年)したのです。

 育児・介護休業法は、子が満1歳になるまでの期間に休業する権利、介護が必要な家族(配偶者、親、子、同居の兄弟姉妹や祖父母や孫)のための連続する3カ月以内に休業する権利を定めたものです。事業主は、これらの権利申請を理由とする解雇の禁止や深夜業の制限、労働時間の短縮、再雇用などの対応を求められるようになりました。しかし、これらの規定も、非正規雇用の社員には適用されない、保育制度や介護保険制度との連携が不十分、などの限界があり、その後も改正が重ねられることになりました。

★この年の主なできごと★

「女性ユニオン東京」誕生 :初の女性のための個人加入の労働組合が成立。自分の勤務先に労働組合がない場合も個人で加入できるので、団体交渉が可能に。これまで男性主体だった組合に不満を抱いていた女性たちから大きな支持を受けた

阪神・淡路大震災 :1月17日午前5時46分52秒に淡路島北部沖の淡路海峡を進言としたマグニチュード7.3の地震が発生。死者6434人、行方不明者3人、負傷者4万3792人、被害建物68万9776棟、被害総額は約10兆円に達した。これは大都市直下を震源とする日本で初めての大地震で、震度7の激震を記録した初めての地震だった。災害地の混乱状況の中で、女性の性被害の状況などが後に明るみになった。

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Profile
福沢 恵子(ふくざわ・けいこ)
福沢恵子(ふくざわ・けいこ)
ジャーナリスト・日本女子大学客員教授
1983年早稲田大学政治経済学部卒。在学中に女子学生の作る就職情報誌「私たちの就職手帖」を創刊、初代編集長を務める。卒業後、朝日新聞記者を経て1990年にフリーランスのジャーナリストとして独立。「女性と仕事」を中心テーマに、就職、起業、人材開発などについての執筆や講演を行う。2007年より日本女子大学リカレント教育・再就職システム客員教授(キャリア開発論)。この他跡見学園女子大学、法政大学、早稲田大学の非常勤講師も兼任している。
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